スヴァンホルムでの農業体験記【デンマークのエコビレッジに住む!】

デンマークで中・長期滞在するにはワーキングホリデーを始め、フォルケ・ホイスコーレという選択肢もあります。しかし、農家で様々な国籍の人たちとともに働きながら過ごすファームステイというのもあります。ここでは、スヴァンホルム(Svanholm)でのKeiさんのファームステイ体験記を紹介します。

スヴァンホルムの種 ―はじまり― by Kei

スヴァンホルムは、1978年デンマークのシェラン島(Sjælland)でコレクティブハウスとして始まった。

コレクティブハウスとは、個人の住居のほかシェアキッチンやシェアダイニングなどの「共同スペース」を 設ける住宅様式のことで、ヨーロッパ圏エコビレッジでは広く理解認知されており、初期メンバーの1人はさまざまな職業に従事する人たちとともに、自身の仕事である農業を行おうと思っていた、と話していた。

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スヴァンホルムの土 ―人々・土地―

2015年現在、スヴァンホルムには子供30人、大人100人、計約130人の住民がいる。特に小学生までの子供のいる家族と、高齢の人たちが多く住んでいる。

他にも30代や40代の労働者(家族の中での父・母)の中には同じシェラン島内にあるコペンハーゲンに労働に行く者もいた。20代の若者たちはコペンハーゲンや近くの都市に住み込みで働きにでているという。

コペンハーゲンはスヴァンホルムから南東へ約55キロのところに位置し、市の中心部へは電車とバスを利用し約1時間半で行ける。ただしスヴァンホルムの最寄り駅である「Frederikssund」まで出るバスは1時間に1本しかないので時刻表を要検索。往復で約100デンマーククローネ(約2000円)の運賃がかかる。

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スヴァンホルムでは基本的にデンマーク語が話されている。

これはデンマークという国の中であるからもちろんのことであるが、英語も広く汎用されているのも間違いない。というのも、多くのゲストワーカーたちの存在、デンマークの高度な英語教育環境の影響で小学校高学年以上の村人は英語が通じ母国語のように扱う。長く生活を共にするゲストワーカー同士は英語で会話するため、英語にどっぷりつかれる環境だともいえる。ただしその中でもデンマーク語を学習したいと思うゲストワーカーには、村人たちやデンマーク出身のゲストワーカーが喜んでデンマーク語を教えてくれる。筆者も自然の中で、畑の上で学んだデンマーク語単語がたくさんあった。

そして忘れてはいけないのが、スヴァンホルムでは「すべてがオーガニックの暮らし」であるということ。そのためオーガニック製品の使用にこだわり、自給自足で賄えないオーガニックの食材はわざわざ取り寄せて、食事もすべてオーガニックにするというこだわりようである。そしてシャンプーやせっけんをはじめとする生活雑貨もオーガニックであり、村の共同大キッチンにある食糧庫や生活雑貨庫からはゲストワーカーでさえも自由に使用、消費していいこととなっている。ただし、ゲストワーカーの寝泊りするシャワールームは全員で一つのため、大量に使用することはないし、食糧も昼食・夕食は用意されるため朝食分のみゲストで手分けしてとりわけ、準備する程度である。また、果物は少し高価なため、1人につき週5つまでと決まっているが、平日に毎日ひとつ好きなフルーツが食べられると思えば、とても十分に感じた。

つまりスヴァンホルムでの生活では贅沢品(アルコールやお菓子、ジュース⇒村での生活では、それ以外のことが心を十分に満たしてくれるため、あまり欲することはなかった)など以外、買い物の必要がなく生活できる。ちなみに村から少し離れたところにスーパーなどあるため、緊急の場合や何か不足があれば、買い出しも可能だ。スーパーまでは自転車で行ける。この自転車は200DKKをデポジットとして村に払うことで貸し出しをしてくれる。結構日常に必要不可欠なため、まずは手にいれるとよい。農業グル―プに所属すれば、朝の畑へ向かうのも自転車が多いし、みんなが自転車で海へも行ったりした。

滞在にあたってゲストワーカーは一人一部屋割り当てられ、滞在期間中はそこで寝泊りすることとなる。大きな部屋でも二人で一部屋ということはなく、間取りも一つ一つ違うため、どこにあたるかはお楽しみ。洗濯も各自で行うため、汚れた農作業服も洗って気持ちよく使用することができた。

スヴァンホルムの水 ―援けるもの―

スヴァンホルムに訪れる者(ゲストワーカー)はWWOOFer(ウーファー)として働き、村の人々(ホスト)と家族のように、家族の目線で暮らすことができる。労働を条件に住む場所も食事も得られるWWOOFerは、短期から長期で滞在するものまで様々な目的とともに訪れたゲストワーカーから構成されていた。

※ホームページでは1か月以上の労働が基準となっている。ただし、ゲストワーカー担当の方との交渉次第で2週間の短期滞在の日本人もいた。

またさらに交渉次第では村での生活が自分のこれからの人生に合うと判断しさらに滞在期間を延長したいと申し出て、1年もしくは永住を決意した仲間もいた。

 

スヴァンホルムの太陽 ―仕事・食事―

ゲストワーカーが働くグループは、「キッチングループ」「建築グループ」「農業グループ」の3つ。スヴァンホルムの1日はAM8:00の午前の仕事から始まる。もちろん午前の労働の前に各自で食事やコーヒーを飲んで働きに出る場合もある。

私が所属した農業グループでは8:00から当日のミーティングが10分以内に済まされ、リーダーたちが話し合う。その横でコーヒーブレイク用にコーヒーとティーを作りつつ、リーダーからの指示を仰ぐのが我々の日課だった。その日労働する畑にみんなで移動し、作業をする。私が滞在した春から夏の時期は種・苗植えから収穫の時期だったため、これらに加えて除草の作業をおもに行っていた。

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AM10:00頃になると約15分のコーヒーブレイクがあり、畑の横で太陽の下みんなでコーヒーを片手に休憩をする。

image007そこでの日常会話も疲れを癒す和やかなもので、労働の間の楽しみの一つでもあった。気合を入れ直してAM12:00まで仕事をすると、待ちに待った昼食の時間である。昼食にはキッチングループが作ってくれたおいしい料理が(ときには農業グループがその日収穫した新鮮な野菜が)ワーカーたちを待っている。この時の食事ほどおいしいものはない。

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昼食の1時間が終わると午後の仕事へ。ここから2時間もうひと踏ん張りで農作業に励む。午後には人手が足りないキッチングループへ農業グループから手伝いに行くこともあった。作業は15時に終わり、これを月曜日から金曜日まで行う。

※ただし、金曜日の午後は特別に、村人・ゲストワーカー一丸となって、それぞれの住まいを掃除する時間となっている。この時間に1週間の住まいの汚れなどを取り除き、綺麗な状態を保っているのだ。

農作業中は有機農地ならではのたくさんの新しい発見や、仲間たちとの会話などたくさん楽しい思い出がある。きっとその年それぞれのゲストワーカーたちと住民たちとの出会い、会話がそこにあるのだろう。

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スヴァンホルムの肥料 ―暮らし―

仕事を終えた住民たちは、夕食まで各々の午後の時間を自由に過ごす。

シャワーを浴びて着替えて、仲間とおしゃべりしたり、おやつを作ったり紅茶を淹れたり、外で遊んだり思い思いの時間を過ごす。夕食後も自由時間があるため、キャンプファイヤーをしたり、旅立つ仲間のフェアウェルパーティーをしたりした。

うってかわって休日になると、よりゆっくりとした時間が流れる。みな思い思いの時間を過ごすため、楽しみ方は千差万別。私の場合、朝はいつもより少し遅く起きて疲れをとり、朝食後友人たちと庭でデンマーク語を勉強したり、大きい部屋でピアノの練習をしたりした。そとでトランプしたり、キングスゲームという小さな木の棒を投げるゲームをしたりみんなで遊んでいた。

時にはゲストワーカー全員とスヴァンホルムの村人の同年代の友人と大勢でイングリッシュブレークファーストと称し、パンケーキやスクランブルエッグ、ケーキやサラダなど作って外のベンチでゆっくりとした朝食をとったこともあった。

image015日本ではできない、共同生活中の休日ならではの時間を感じ、とても優雅な朝だった。

まさにhyggeなひと時である。

毎週日曜日は私にとっての大事な日であった。それは週に1度のサッカーの練習が近くで行われるためである。周辺の地域からも子供たちがやってきて有志で行われるものだったが、週末の一大イベントの一つでもあった。

またある日は農作物の出荷ついでに仲間たちと日帰りコペンハーゲン旅行をしたこともあった。星を見ようとおもいつき海に車や自転車で行ったり、海水浴にもよく行った。特に夏、暑い時期の農作業後の海は格別で、久しぶりに泳ぐ楽しさや気持ち良さを感じた。

image017ある日の平日の夕食後、ビーチバレーをしたこともあった。

image021その日はバーベキューの日でみな大きなバーベキュー台を囲んで大きなソーセージや肉を食べ、即席のバーカウンターで好きなドリンクを作って飲んだりとした日だった。

誰かが食後にビーチバレーをやろうというと、子供たちから大人までやろうやろうとたくさんの村人が集まりだし、遊んでるうちにたくさんの参加者になり結局3チーム作って子ども大人ごちゃ混ぜで2時間ほど遊んだこともあった。

時間も忘れて遊んでしまうところ、子供にも手加減なしでスパイクを打つところなど、昔からこの場所で遊んでいるからこそ、遠慮なしで大人でも自由に楽しめるんだろうなと感じた。日本にはなさそうなそういうところもいいなと羨ましく思った。

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スヴァンホルムの風 ―これから―

スヴァンホルムを代表するエコビレッジはいま口コミや紹介でヨーロッパ全土に認知される存在となってきている。日本ではまだ知名度が薄いエコビレッジだが、なかでもスヴァンホルムは日本人のゲストワーカーが多いため、村人が日本人との交流に慣れている。村人たちもまだまだ多くの労働力や交流を望み村の発展を目指している。

また、多国籍なゲストワーカーたちの友人との出会いももちろん、デンマークのスヴァンホルムに住む人々、彼らの人生の一日を共に過ごすことで、日本から離れた同じ地球にこのような人生や生活があるんだと実感できることはなによりの財産になるだろう。

少しでも興味のある日本人の方たちには、ここに住む人たちの人生のひとときの一部になるチャンスをぜひ生かしてもらいたい。

 

準備編

スヴァンホルム公式ホームページ

公式ページ下部の宛先に、滞在希望の旨や自己紹介を英語で連絡します。

ゲストワーカー担当者とのやりとりは英語でします。また滞在にあたって必要になる特別な申請やビザはありません。個人が希望するデンマーク滞在期間にあたるビザの取得のみが必要ですので、ワーキングホリデーのビザで訪れる人、観光ビザの人、国籍によっても様々でした。

特別に必要な持ち物は履きなれた、仕事・作業に使える服で汚れてもよい動きやすいものです。詳しくは、ゲストワーカー担当者の方が教えてくれると思います。

>>直行便と経由便で、デンマークまでどのぐらい?